子どもの世界は私たちの世界そのもの、
でもそれは私たちの世界よりも美しく、
充実していて、驚きにあふれている・・・ヨゼフ・チャペック(1918年)
私は今なお、謎の世界を知る
子どものままだカレル・チャペック(1934年)
渋谷区立松濤美術館で開催中の
「チャペック兄弟と子どもの世界
~20世紀はじめ、チェコのマルチアーティスト」展へ。
20世紀初頭から活躍した、中欧チェコの芸術家、兄ヨゼフ・チャペック(1887-1945)と弟カレル・チャペック(1890-1938)の兄弟。
ヨゼフはキュビスムの画家として数々の作品を発表し、また弟カレルの著書の装丁を手がけ、また自身も多くの著作を遺しました。
また、カレルは文筆家として、第二次世界大戦前の不安定な社会において、多くの新聞記事、戯曲、旅行記、批評などを発表したそうです。
二人は戯曲などを多数共同制作しました。
1920年発表の戯曲『R.U.R.』の創作にあたり、 「ロボット」という言葉を生み出したことで知られています。
渋谷駅に程近い閑静な住宅街「松濤」の一角にある
松濤美術館。
石造りの印象的な外観、噴水を設けた吹き抜け、心安らぐ美術館です。
昭和56(1981)年10月に開館した松濤美術館。
哲学的な建築家といわれる白井晟一氏の設計のもとに完成した建物です。
静岡県でも、とても気になる美術館がありました。
静岡市立芹沢銈介美術館です。
池に噴水があるという点で共通する静岡市立芹沢銈介美術館は、松濤美術館と共に白井晟一氏の晩年の代表的な作品ともいわれ、斯界の発展に多大な貢献をされたそうです。
帰り道は、
カフェ タカギクラヴィアでチーズケーキを。
また、時々おじゃまする
ガレットリアへ。
センス溢れるインテリアと家庭的な雰囲気が素敵です。
チャペック兄弟・・・この兄弟は芸術的にも人間的にも、そして児童文学においても、よき協力者でありました。
私が大切にしている一冊『メッセージ・フロム・チェコアート』
その本には、こう記されています。
第二次世界大戦直前と戦争中は、チェコの文学(児童文学も含めて)はチェコの国民にとって大きな意味を持っていました。
当時のように民族の存在が圧迫されだすと、国民は次の世代に文化的責任を強く感じるようになります。そして、詩人のフルビーンは1943年にこう書いています。
「今日のようなおそろしい時代には作家・詩人・画家達は家族や、将来性のある子どもたちのことを深く考えるようになる」子どもの心を持ち続けたチャペック兄弟。
また、日常的な光景・・・たとえば家にやってきた大工見習い、庭をかけまわる犬や部屋で寝そべる猫からも、想像力の端緒をみつけることができました。
最後に、チャペックの文章は呼びかける文章だ・・・とも。
「みなさん」「ほら」といった呼びかけに、私たちは瞬く間に物語の世界へ。
チャペック童話にしばしば見られる「呼びかけ」は、静かな魂の叫びだったのかもしれません。