「間に合ってよかった・・・」
2018年最初のART空間散歩人は、ぐっさんと『
ゴッホ~最期の手紙~』鑑賞から。
恵比寿ガーデンプレイスにある
東京都写真美術館ホールへ行ってきました。
燃えあがるような情熱を感じさせる個性的な筆致で、今も世界中の人々を魅了してやまない天才画家フィンセント・ファン・ゴッホ。
この作品は、世界初、全編が動く油絵で構成される珠玉のアートサスペンス映画です。
俳優さんたちの実写映画としての撮影、撮影後のCGアニメーション、それらをとらえた映像を特別なシステムでキャンバスへ投影。
さらに、長期にわたる特訓でゴッホのタッチを完璧に習得した125名の画家たちの筆で油絵に。
日本からは
古賀陽子さんが参加されています。
豪華キャスト陣の名演と、描かれた62,450枚もの油絵。
背景を知り、素晴らしい作品だということを改めて実感しました。
ゴッホの世界に新たな生命が吹き込まれた、まさに、アーティストたちによる情熱の結晶です。
また、日本の文芸評論家 小林秀雄氏は、ゴッホが残した膨大な量の手紙は告白文学の最高傑作であると語っています。
ゴッホが最愛の弟テオに書いた最後の手紙では、こう書き記されていたそうです。
「我々は自分たちの絵にしか語らせることはできないのだ」そして、サウンドトラックの最後には、英国の女性シンガー・ソングライター、リアン・ラハヴァスの歌う「Starry, Starry, Night」が収録されています。
ドン・マクリーンによるこの曲は「Vincent」という曲名でも知られていますが、優しく切ない歌声が、私たち観る者に深い余韻を残してくれました。
ちなみに「Starry Starry Night」という歌詞で始まりは、ゴッホの代表作の一つでもある「星月夜 (The Starry Night)」という作品に由来するそうです。
美術館で味わう本格的なブーランジェリー・カフェ
MAISON ICHI で少し遅めのランチを。『ゴッホ~最期の手紙~』と、その日の「靴」がきっかけとなり、少しだけお話しをしたお隣の女性。
好きな作家の作品は実際にその国へ足を運んで観る・・・カラヴァッジョの作品を観にマルタ島へ旅をされたそうです。
不思議なご縁を感じました。
その後、
東京都写真美術館へ。
現在、フランスの写真家ウジェーヌ・アジェの展覧会『
アジェのインスピレーション ひきつがれる精神 』が開催中です。
ウジェーヌ・アジェは19世紀末から20世紀初頭にかけて、パリとその周辺を捉えた写真家です。アジェに憧憬を抱き、手本としてきた写真家たちは後を絶ちません。
また、生前のアジェ自身のコメントがあまり残されていないことから、多くの人たちが様々な想像を巡らせ、その真実に迫ろうとしてきたそうです。
ふと、ゴッホのメッセージが頭に浮かびました。
我々は自分たちの絵にしか語らせることはできないのだ・・・と。
よい1日でした。
ぐっさん、ありがとう。
今年もたくさんの感動を。
追記
ゴッホ原寸美術館 100% Van Gogh! (100% ART MUSEUM)をお借りしました。
《ジャガイモを食べる人々》《アルルの跳ね橋》《夜のカフェ・テラス》《ひまわり》《星月夜》《糸杉》など、初期から晩年まで、ゴッホの代表作を厳選。
力強い筆触やマティエール(絵肌)などゴッホ作品の魅力を楽しむことができました。
原寸図版ならではの迫力・・・貴重な一冊をありがとうございました。
「タッチ、筆触とはなんと奇妙なものだろう。戸外で風や、太陽や、人々の好奇の目にさらされならがら精いっぱい仕事をし、大急ぎでカンヴァスを埋める。でもそんななかで真実や本質を捉える。それがいちばん難しい。しかし、少し経ってまたこの習作にとり組み、描く対象の感じにあわせて筆触を整えていくと、確実に調和がとれ、見栄えもよくなって、静けさや微笑みが加わってくる」ゴッホの手紙より。