映画『ショコラ ~君がいて、僕がいる~』
「俺たちは、ふたりで一つだ」
フランス史上初の黒人芸人ショコラ。
そして、彼を支えた相方のフティット。
20世紀初頭「映画史上初めてスクリーンに登場した芸人コンビ」として、多くの人々を魅了しました。
1900年のパリ万博でも活躍し、お菓子や石鹸などの商品パッケージキャラクターに起用されるほど絶大な人気を博した彼らは、多くのアーティストにも影響を与えたそうです。
ロートレックが彼らを絵のモチーフにしたほか、映画の祖リュミエール兄弟は二人の芸をフィルムに収め6本の作品を残しました。
この作品は、スターにのぼりつめ、笑いで革命を起こしたものの人種差別の根は深く、歴史に名を残せなかったショコラの生涯と相方フティットのコンビ愛を丁寧に描いた真実の物語です。
2017年はショコラ没後100年。
ショコラの成功と転落の人生、差別を受けた彼の苦悩。
ショコラを支えた相方フティットと、周囲の偏見の目にさらされようとショコラを愛した妻マリー。
芸人としての輝かしい功績が映画となって蘇りました。
ショコラ役は『最強のふたり』のオマール・シー。
そして、喜劇王チャップリンの実孫であるジェームス・ティエレがフティット役を演じました。
彼らの演技は、まさに「フティット&ショコラ」そのものでした。
父と母が観た映画『ショコラ ~君がいて、僕がいる~』
映画好きの父は、ジェームス・ティエレの姿にチャップリンへの想いを重ねたそうです。
映像の美しさ、心揺さぶられる音、色鮮やかな衣装。
当時の暮らし、そしてサーカスという芸術。
それらがきっかけとなり、私も劇場へ向かいました。
楽しい場面でも、切ない場面でも、複雑な気持ちで見守る私。
それだけ、深く静かに心に響いた作品だったのです。
ベル・エポック期を駆け抜けた素晴らしいアーティストの物語。
二人の友情が、とても強く深いものだったと感じた最後のシーン。
あの笑顔がすべてを物語っていたのだと思います。
追記
フライヤーには、ロートレックがショコラを描いた作品が掲載されています。
(アイリッシュ・アンド・アメリカンバーで踊るショコラ -1896年、水彩・クレヨン-)
そして、映画にはセンス溢れるポスターが登場します。
東京都港区にあるリボリアンティークス(ロートレックやミュシャなど19世紀末のパリの作品をあつかう画廊)さんの
ブログに詳しくご紹介されています。
また、壁一面に張られた鏡や赤い椅子が印象的な
オーバカナルでは、フランス版のポスターを展示中です。
公式サイト
映画『ショコラ ~君がいて、僕がいる~』
http://chocolat-movie.jp/index.htmlシネスイッチ銀座
シネマニアでお世話になった
青柳さんの作品が展示されています。
http://www.cineswitch.com/映画の原案本のご紹介
『ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯』
ジェラール・ノワリエル・著
舘葉月・訳
(集英社インターナショナルより)
http://www.shueisha-int.co.jp/archives/3825